水虫・爪白癬

水虫とは

水虫とは、白癬菌というカビ(真菌)の仲間が足の皮膚に感染した状態のことで、正式には「足白癬」と呼ばれます。
この白癬菌は足の皮膚に限らず、体のいろいろなところに感染し、症状を起こします。手や足の爪に感染すると「爪白癬(爪水虫)」、陰部に感染すると「股部白癬」などと呼ばれます。

水虫の原因とは

白癬菌が皮膚に付着・感染することで起こります。
白癬菌は湿度の高い場所を好むので、スポーツジムのプールの近くや温泉などの足ふきマットなどから感染することが多いです。家庭内でもスリッパやお風呂の足拭きマットを共有することで感染するケースが多くみられます。

水虫の症状について

足白癬(足水虫)

足の裏や足の指の間に皮むけが出たり、ジクジクしてくることがあります。必ずかゆみが出るわけではなく、初期にはかゆみがなく、症状が進行してからかゆくなってくることも少なくありません。

代表的な病型として、以下の3つがあります。

  1. 趾間型
    足の指の間にただれやジクジクが出るタイプ。足の薬指と小指の間の皮膚に症状が出やすく、かゆくなることが多い。
  2. 小水疱型
    足の裏などに小さい水ぶくれが出てくるタイプ。趾間型同様かゆみが出ることが多い。
  3. 角質増殖型
    踵などがあかぎれのように固くなるタイプ。趾間型や小水疱型と異なり、かゆみが出ないことが多い。

爪白癬(爪水虫)

爪白癬の症状には、爪が黄色っぽく変色する、爪が厚くなる、爪の形が変形する、爪が剥がれるなどがあります。爪白癬は、足の爪に多く見られますが、手の爪にもかかることがあります。
長い間マニキュアをつけたままにしていて、知らないうちに症状が進行してしまっていることもありますので、こまめに自分の足をチェックしておくことが大切です。

水虫の診断について

皮膚や爪の一部を採取し、顕微鏡で白癬菌が見つかれば診断は確定します。足白癬に見た目がそっくりでも違う病気のこともあり、熟練した皮膚科専門医でも見た目だけでは判断できないことが少なくありません。
また、受診前に市販の水虫薬を塗ってしまうことで、本当は水虫であっても顕微鏡で白癬菌が見つからない(偽陰性)ことがあり注意が必要です。
気になる症状があった場合には、市販薬を塗り始める前に皮膚科に受診し顕微鏡の検査を受けるようにしましょう。

水虫の治療について

足白癬の治療

足の皮膚だけの症状の場合には、通常抗真菌薬の塗り薬を使用します。塗り薬にはクリームタイプのものや軟膏タイプのもの、液状のものなどさまざまな種類がありますので、ご本人の塗りやすさや症状のタイプに応じて医師が判断して処方します。

治療のコツ

  • 塗り薬は両足の裏を中心に、足の指の間や足の側面、踵からアキレス腱の周囲までしっかりと塗りましょう。
    白癬菌は見た目の症状がある部分だけでなく、見た目がきれいでも足の裏やつちふまず、アキレス腱の近くまで潜んでいる可能性があります。
    せっかく治療をしていても、症状のある部分しか塗らないと何度も症状を繰り返す原因となります。
  • クリーム・軟膏の塗り薬は1本を7-10日程度で塗りきる量が適切な使い方です。薬がなくなるのがこれより早くても遅くても、塗り方が間違っている可能性があります。
    目安としては塗り薬をチューブから指の第一関節まで出した量(1FTU (Finger Tip Unit)といいます)がちょうど片足分の1回分の塗り薬の量となります。
  • しばしば水虫の薬でかぶれを起こす体質の方がいるため、特に塗りはじめの数週間は症状の変化に注意しましょう。もし塗り始めてからがさがさ、赤み、水ぶくれなどの症状が徐々に悪化する場合は一旦使用を中止し、早めに受診するようにしてください。
  • 見た目がきれいになってからも1-2ヶ月は塗り続けましょう。
    塗り薬で見た目がすっかりきれいになったあとでも、皮膚には白癬菌が潜んでいることが多いです。良くなったと思ったら、それから1-2か月程度は毎日外用を継続するようにしましょう。自己判断でやめてしまうと、症状が再発してしまうことも少なくありません。

爪白癬の治療

爪白癬は抗真菌薬の塗り薬もしくは飲み薬を使用して治療を行います。
一般的に爪白癬は足白癬に比べ、非常に治りにくく、根気強く治療を行う必要があります。
3ヶ月間毎日飲み続ける薬や6ヶ月間毎日飲み続ける薬、「1週間内服して次の3週間は休む」という飲み方を3回繰り返すタイプの飲み薬などがあります。
いずれの飲み薬も肝臓に負担になることがあるため、定期的な採血で肝機能チェックを行いながら治療を続ける必要があります。また飲み合わせの悪いお薬もありますので、常用薬などを医師が確認し処方します。
飲み薬を希望されない場合やもともと肝機能障害がある場合は、抗真菌剤の塗り薬を選択して使用することも可能ですので、その旨を医師にお伝えください。

水虫の予防について

裸足で不特定多数の人が歩くようなスポーツジムのプールや温泉などの足ふきマットなどの使用は注意が必要です。水虫の菌は皮膚にくっついてから感染するまで、およそ24時間かかると言われています。プールや温泉などに行った場合には、帰ったあとに足だけ洗いなおすことで感染を予防できます。その他白癬菌はあちこちに存在するので、普段から足を石鹸できれいに洗う習慣をつけるようにしましょう。
ご家族に水虫の方がいる場合には、お家の中でも対策が必要です。水虫にかかっている方がしっかり治療を受けるのはもちろんのこと、タオルやバスマットをこまめに洗い、共有しない、スリッパやサンダルは分けるなどを心がけるようにしてください。

よくある質問

足白癬は治るまでどのくらいかかりますか?

足白癬については外用治療と患部のケアが適切にできていれば1-2ヶ月程度で見た目はよくなってくることが多いです。一旦見た目がきれいになったあとも角質内に菌が潜んでいる可能性が高いため、治療を自己判断で終了しないようにしましょう。

かゆみもないので治療せずほっといてもいいですか?

白癬菌に感染していてもかゆみなどの症状が出ないことも多いため未治療で様子をみている方も多いですが、水虫を放置することで皮膚に亀裂やびらん(傷)ができ、そこから細菌が入り込み、蜂窩織炎(ほうかしきえん)などの細菌感染症をおこすことがあります。この蜂窩織炎という病気はしばしば重症化し、入院治療が必要になったり、場合によっては死に至ることもあります。特に糖尿病の患者さんでは重症化しやすいため、足を清潔に保ち、足の皮むけなどの症状があれば早めに受診することが大切です。

爪白癬はどのくらいで治りますか?

爪白癬のお薬は、変色、変形した爪を直接もとに戻すものではありません。感染した爪が成長に伴って先端の方へと押し出され、新しい健康な爪に生え変わることで治ります。個人差はありますが、新しい健康な爪に生え変わるまでに、足の爪は約1年~1年半かかります。飲み薬で治療する場合は3-6ヶ月程度で一旦内服期間は終了になりますが、飲み終わったあとも定期的に受診して経過を確認してもらう必要があります。

爪白癬の治療をしているがなかなか良くならない。

足爪白癬の治癒率(見た目がきれいになる)については塗り薬で15-30%程度、飲み薬でも60%程度と言われており、なかなかきれいな見た目の爪に戻らないことも多いです。しかし適切な治療をうけることで、見た目がきれいにならなくとも顕微鏡で白癬菌が見つからなくなる(真菌学的治癒)状態になる可能性は比較的高く、他の部位に感染したり、蜂窩織炎の原因となってしまうことを予防できます。医師に相談しながら根気強く治療を継続することが大切です。