みずいぼとは
みずいぼ(伝染性軟属腫)は、伝染性軟属腫ウイルス(Molluscum contagiosum virus)によるウイルス感染症です。
皮膚に1〜5mm程度の光沢のある小さな水ぶくれのような発疹が現れることが特徴です。掻き壊してしまうと中からニキビの芯のような白い塊が出てきますが、この白い塊にはみずいぼの原因となる伝染性軟属腫ウイルスが含まれているため、みずいぼを掻き壊したりして液体が出てくると、皮膚のあちこちにどんどん増えていってしまいます。
みずいぼは、通常半年から2年以内に自然治癒することがほとんどです。そのため、その間にみずいぼを掻き壊したりして他の部位に広げたり、他のお友達にうつしたりしないように適切なケアが大切です。
プールの水では感染しないため、みずいぼがあってもプールに入って構いませんが、素肌同士で触れ合ったり、タオルを共用してしまうと他人にうつしてしまうことがありますので注意が必要です。
みずいぼ治療について
一般的に以下のような治療方法があります。
- 数年以内にみずいぼに対する免疫が体につき自然に消えるため、経過観察する。
- みずいぼクリーム(銀イオン配合クリーム:自費)による外用治療
- トラコーマ鑷子で摘除(当院では基本的に行わない方針です)
- その他の治療:液体窒素による凍結療法、ヨクイニン(ハトムギエキス)の内服など(通常あまり行われません)
当院ではお子さまの負担を考慮し、みずいぼクリームによる治療を採用しています。

いずれ自然に治るみずいぼですので、後述の通り、当院では従来の「痛い・怖い」みずいぼの摘除は基本的に行っておりません。
代わりに、みずいぼをできるだけ悪化させず、治るまでの期間を早める方法として、みずいぼクリーム(銀イオン配合クリーム:税込2200円)による治療を採用しています。
このクリームに配合されている銀イオンは強い抗菌作用を有します。人体や動物には極めて安全であることもわかっており、お子さまへの身体的・心理的負担が軽減されます。
クリームの塗布を開始すると概ね2週間~2か月程度でみずいぼが赤く変化してきます。(効果が現れてきたサインです) その後1~2か月程度かけてみずいぼが消失していくと報告されています。
※ みずいぼの数や大きさ、お子さまの免疫力などにより効果は異なります。
⚠️ みずいぼ摘除について
みずいぼ治療の一つに、トラコーマ鑷子というピンセットをもちいてみずいぼの芯を取り除く摘除の方法があります。この方法は痛みを伴うことが多いため麻酔のテープ剤を使用して1時間ほど待ってから行う場合がありますが、それでも痛みを完全にとることはできず、抑えつけられる恐怖も相まってお子さんにとって強い心理的・身体的負担がかかります。 しかも、一度で治療が終了することはほとんどないため、この「痛い・怖い」処置を何回も繰り返すうちに、お子さんに病院に対する強い恐怖心が植え付けられてしまい、病院の入口を見るだけで怖がり抵抗し、泣き叫んでしまうということも少なくありません。
もしこのように極度の病院嫌いになってしまうと、他の病気やケガなどで本当に処置が必要なときに協力してもらえなくなる可能性が高くなるばかりでなく、痛い部分やかゆい部分を見せてさえくれなくなってしまうこともあります。
また、麻酔薬に対するアナフィラキシーショック(アレルギー)のリスクや処置ベッドから転落して怪我をしてしまうリスクもあります。
以上のことから、当院ではこの摘除の処置は基本的には行わない方針としています。
日常の注意点
数年以内に自然に治るみずいぼですが、治るまでの間に全身に広がってしまったり、バイ菌が入って腫れてしまったりしないように、適切なケアが大切です。
掻きむしらないようにして、保湿などのケアを行いましょう
みずいぼを掻き壊すと ウイルスが広がり、発疹が増える原因になります。また、ばい菌が増えてとびひの原因になることがあります。 爪を短くし、乾燥やかゆみがある場合は保湿などの適切なケアを行うことが大切です。
登園、登校について
みずいぼにかかっても、保育所や幼稚園、学校を休む必要はありません。 患部が他の人に直接触れないよう、みずいぼのある部位を衣類や絆創膏で覆っておくとよいでしょう。
プールや体育の授業の注意点
プールの水ではうつらないため入っても構いません。 お互いの皮膚の接触でうつることがあるため、絆創膏で覆うなどして保護し、患部が他の人に直接触れないようにしてください。
プールでは、タオル、水着、浮き輪などは共用しないようにしてください。
おうちでの過ごし方
他の家族と衣類やタオルなどを共有しないようにしましょう。※ 洗濯や熱湯消毒をすれば、ウイルスの力は弱くなります。
シャワーで皮膚を清潔にし、入浴後は保湿などのスキンケアを行いましょう。