アタマジラミ

シラミ症(特にアタマジラミ)について

子供が頭を痒がる、髪の毛にフケがついている、…もしかして、アタマジラミかも!?

アタマジラミが園内で流行っています

こんなお知らせを幼稚園・保育園で一度は見聞きしたことがある人が多いのではないでしょうか?
でも実際にどんな症状が出るのかはよく知らない方も多いと思います。

最近、頭を痒がる」「髪の毛のフケが増えてきた」といって当院を受診され、実はアタマジラミだった、ということがよくあります。

どんな症状があったら受診したらいいの? 園で流行っているときは通園させないほうがいいの?など、シラミ症のことを知って、正しく対処できるようにしていきましょう。

そもそも「シラミ」ってなに?

シラミとは吸血性昆虫(血を吸う虫)のひとつで、約1000種類が確認されています。
そのなかで、ヒトに寄生する3種類のみがヒトの皮膚から血を吸ってかゆみや湿疹を起こします

この3種類は、それぞれ〈頭髪〉〈陰毛〉〈衣類の線維〉に特化して進化した特殊な脚でしがみついているため、決まった寄生部位以外では滑り落ちてしまうため寄生できません。たとえば、コロモジラミが頭に寄生することなどはできないというわけです。(例外として、ケジラミは陰毛以外の体毛やちぢれ毛の人の髪にもまれに寄生することがあります。)

さらに、ヒトから離れると吸血できないため2〜3日で死んでしまいます。また、運動能力は低く、羽もないので遠く離れたところから飛びうつってくることもありません。

また、ヒトに寄生するシラミは他の動物には寄生せず、他の動物に寄生するシラミはヒトには寄生しないので、ペットなどからうつったり、ペットにうつしてしまう心配もありません。

ヒトに寄生するシラミ
種類寄生部位感染経路
アタマジラミ髪の毛の接触
ケジラミ主に陰毛性行為
寝具や便座カバーなど
コロモジラミ衣類体の接触
衣類

ときどきニュースやネットで話題になるトコジラミ(南京虫)は名前にシラミと入っていますが、実はシラミではなくカメムシの仲間です。 
家や荷物などに潜み、夜な夜な血を吸いに出てきてはまた隠れてしまうため、対策はこちらの方が厄介かもしれません…

アタマジラミの一生

髪の毛に産み付けられたシラミの卵は7〜10日ほどで孵化し、幼虫は3回ほど脱皮を繰り返して1〜2週間で成虫になります。成虫の寿命はおよそ1ヶ月ほどで、1日に3〜4個、1ヶ月で約100個もの卵を産みます。
繁殖力が非常に強く、どんどん数が増えていくので「気がついたときには頭の中がシラミだらけ」なんていうことも…。

アタマジラミの特徴・感染経路

シラミは1年中いつでも発生し、アタマジラミは幼児や小学生など頭をくっつけて遊ぶ年齢によく見られます。お昼寝やお泊まり保育の際も注意が必要です。毎日頭を洗っていて清潔にしていても、毛と毛が接触する機会があったり、タオルやクシなど体に触れるものを他の人と使い回すことでうつる可能性があります。プールやお風呂など水の中ではうつりませんが、脱衣かごやロッカーを共用することでうつる可能性はあります。

同じ空間にいるだけでうつる、一緒に食事をしていてうつる、というものではありませんので、直接の接触や帽子・タオルなどの共有に注意すればいつもどおり登園・登校してかまいません
ただし、感染が拡大しないように対策を講じてもらう必要がありますので、必ず園や学校には報告しましょう

アタマジラミの症状

シラミがヒトの血を吸うことにより、アレルギー反応が生じかゆみが出ます。
感染初期で成虫の数が少ないうちは無症状のこともあり、数ヶ月経って成虫が増えることで痒みが出やすくなります。

成虫は毛の中に隠れるのが非常にうまく、数が少ないうちはなかなか見つけることができません。しかし、髪の毛に卵を植え付けるため、その卵は動かないので容易に発見することができます。

卵とフケは見た目では区別がつきにくいため、〈髪の毛にくっついて取れにくいフケのようなもの〉が増えてくるようであれば早めに受診するようにしましょう。

アタマジラミの卵(もしくはシラミそのもの)を採取し顕微鏡で調べることで確実に診断することができます。

シラミ症の治療

アタマジラミの治療

アタマジラミを見つけた場合は、シラミ駆除用のシャンプースミスリン®シャンプー)で治療していきます。髪の毛が短い方が処置はしやすいですが、頭皮を含め薬剤を髪の毛全体に行き渡らせることができれば大丈夫なので、無理に短く切る必要はありません。

他の家族も感染している可能性が高いので、ご家族も一緒に受診するのがおすすめです。
感染していたら同時に駆除をしないと家族間でシラミが行ったり来たりしてしまい、なかなか治らない原因となります。

スミスリン®シャンプーの使い方(クリックで開きます)
  • 1️⃣ あらかじめ水またはぬるま湯で頭髪を少し濡らし、滴り落ちないように髪を絞るか水分を拭き取ります
  • 2️⃣ キャップの目盛を参考に1回量として10〜20ml程度を頭髪に振りかけます
  • 3️⃣ 毛の生え際に十分行き渡るように、また全体に均一になるように泡立てます
  • 4️⃣ 髪の毛にタオルを巻いたりシャワーキャップなどをして、目、耳、鼻、口にはいらないようにして5分待ちます
  • 5️⃣ 水またはぬるま湯で十分に洗い流します。そのあとは通常のシャンプーやリンスを使用していただいて大丈夫です
  • 6️⃣ 1️⃣〜5️⃣を、3日に1回ずつ、3〜4回繰り返します。スミスリンシャンプーを使わない日は通常のシャンプーやリンスを使用して大丈夫です

上記1️⃣~6️⃣を3〜4回繰り返しても卵の殻か死んだ卵がまだ頭髪に残っていることがあります。髪の毛にしっかりこびりついて取れにくいので、専用のクシで丁寧に取り除いてください。

上記1️⃣-6️⃣を行っても良くならない場合は…
スミスリンシャンプーが効かない「スーパーアタマジラミ」(ピレスロイド抵抗性アタマジラミ)の可能性があります。
ただ、実は薬の使い方を間違えていただけ…ということもありますので、治療期間中も定期的に受診し、経過を見させていただくと安心です。

感染拡大を防ぐために

感染部を拭いたタオルや使用した寝具は他の洗濯物と分けておくようにしましょう。
シラミは卵も幼虫も成虫も熱に弱いので、60度以上のお湯に5分以上つけてから洗濯したり、衣類乾燥機やアイロンの使用も効果的です。洗えないものはポリ袋に入れて封をして2週間ほど放置します。
幼虫や成虫は吸血できないと2〜3日で死ぬので、卵が孵化する期間も含めて2週間で駆除できます。

家の床に落ちたシラミや卵も同様に2〜3日で死んでしまうのであまり神経質になる必要はありませんが、再感染、感染拡大防止のためこまめに掃除するようにしましょう。
掃除機や粘着ローラーで掃除すれば大半は取り除くことができます。

ケジラミの治療

ケジラミは、基本的には陰毛を剃るだけでも寄生できる場所がなくなるため駆除できます。ただし、体毛の多い方や頭髪がちぢれ毛の方には陰毛以外にも寄生する可能性があります。

その場合はアタマジラミと同じようにスミスリン®シャンプーを使用するようにしましょう。

コロモジラミの治療

コロモジラミはヒトの体ではなく、衣服に住みついています。

感染がわかった場合は、お風呂でよく体を洗い、着ている衣類をいったん新しい衣類に全て取り替えましょう。感染した衣類は60度以上のお湯に10分以上つければ卵、幼虫、成虫全て駆除できます。その後は下着をまめに取り替え、衣類を洗濯していれば問題ありません。